img_latimesフグ料理の達人、佐々木豊氏は、彼のような確かな料理人の手にかかれば猛毒のフグも安全に食べられる、と皆に納得させたいと思っている。 ベテラン料理人、佐々木豊氏は、地球上でもっとも猛毒な魚の仲間に入るフグを、誰もが安心して食べるようになる秘策を持っている、それは天皇陛下に食べて頂くことだ。
日本でフグと呼ばれるブローフィッシュは、その解毒方法が全く知られていない神経への猛毒を持っている、その猛毒はテトロドキシンと呼ばれ、フグの血液、肝臓ばかりかその性器にも含まれ、一匹で何人もの人を殺す毒がある、と佐々木氏は言う。
彼は、多くの日本人が賞味しているフグを、天皇陛下には何世紀にも亘って禁止されているのはおかしいとも言う。
「皇太子を始め、他の皇室の方々はフグを召し上がっているのに、陛下には何故禁止なんだろうか。もし食べて頂ければこんな素晴らしいことはない。」と彼は言う。
彼は、フグが危険なのは間違った料理人が料理した時だけだ、と強調する。 61歳になる佐々木氏は「何も知らない材料で料理を作ろうなんていう料理人は、馬鹿だ。もしあなたが料理人でも、この魚のことを知らなかったら、この魚にも触れるのも間違っているよ。」と強調する。
佐々木氏や彼の仲間は、フグ料理はいつ死ぬか分からないロシアンルーレットいのようなもの、という誤ったイメージを払拭しようと努力している。彼らに言わせれば、フグ料理は、免許を持った料理人が作ればビッグマックと同じように安全だ。
彼がフグ料理に携わって30年、誰も彼のフグ料理に中ったお客は居ないと彼は断言する。
彼は今までに大勢の職人にフグ料理方法を教えてきた。その生徒の一人である彼の息子は、彼の東京のお店、大漁(Good Catch)で彼と一緒に働いている。 佐々木氏は、フグの、天から授かった美味しさと、言われる美味のためにフグを食べるのではなく、ちょっと危険なフグに挑戦してみたくてフグを食べるお客が 居るのに首をかしげる。その上、危険なフグに興味を持って食べにくるお客より、もっと多くの日本人がフグを怖がって食べない。この人たちを何とか新しいお 客にしたい、と彼は言う。
彼の英語の名刺には、「不思議に美味しいブローフィッシュを体験しませんか。あなたの命は100パーセント保証しますよ」とあり、フグを食べるのは、胃が バンジージャンプするようなものさ、とも書いてある。を料理しながら、見ているお客さんに、この魚は食べても安全だと信じてもらえるようなパフォーマンス をしなきゃいけないのさ。」と言いながら彼はフグを見事に捌く。彼の頭が痛いのは、世の中には未だに、美味しいフグを食べると唇がちょっと痺れる、と思い 込んでいる人たちが多く居ることだ。
「これは大嘘。もしフグを食べていて唇が痺れてきたら、それはあの世行きの知らせだよ。」と佐々木氏は断言する。

L.A.Times 2009.4.1掲載